1993年6月から2012年12月まで連載された沙村広明さんの代表作『無限の住人』。その完結記念として、2013年2月23日、阿佐ヶ谷のAsagaya / Loft Aにて開催されたのが、“『無限の住人』完結記念! 沙村広明ナイト”だ。実はこのイベント2部構成となっており、1部はニコ生でも配信されたのだが、2部は完全会場限定イベント! もちろん、他では言えないマル秘エピソードも飛び出した!!
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昨年12月まで連載された沙村広明さんの代表作『無限の住人』。合計30巻、19年も続いた作品の打ち上げ的イベントが2013年2月23日、Asagaya / Loft Aにて開催された。今回はそんなイベントを沙村さんのコメント中心に紹介していきたいと思う。

沙村さんの「乾杯!」の音頭で始まったイベントは、ニコ生で放映される第1部。そして完全会場限定の第2部の2部構成! 1部では『無限の住人』についての様々なエピソードが語られていくのだが、沙村さんは「たくさんの視線が……」とかなり緊張の面持ち。立ち上がりはやや様子見感覚でスタートした。

そんな空気の中で『無限の住人』持ち込み前夜や、各章執筆時の思い出などを語ってくれたのだが、初っぱなの中学時代に描いていた漫画の話からして笑いを誘う!(以下★が沙村さんのコメント)

★猫を擬人化した漫画を描いていたのですけれど、我ながらかわいらしい漫画で。しかし、それから――このころ車田正美さんの『リングにかけろ』が人気だったのですが、すっかり感化されたんですかね。気がついたら猫たちがボクシングをしている漫画になっていました(笑)。

その後は『無限の住人』のマル秘エピソードが次々と!!

★『無限の住人』の1話を見てもらえれば分かると思うんですけれど、何も終わってない感じで「あわよくばこれで連載を取ろう!」という魂胆が見え見えなんですよ!

★21~30巻までが最終章ですが1/3が最終章ですからね、本当にビックリしました。

★一番の反省点は重要な人物を殺しすぎたこと。尸良(しら)が生きていることが最後の砦でしたね。

この他にも沙村さんの口からさまざまな事実が明かされると、会場からはそのたびに笑いが巻き起こり、盛況のうちに第1部が終了。ニコ生もここまでということで、沙村さんはここでホッとひといき。

休憩を挟んで、これまでの作品を紹介していく第2部では沙村さんの緊張もほぐれたよう。会場限定ということも影響していただろうか、1部以上に口はなめらかに!? 

★『おひっこし』はハッピーマニア(安野モヨコ著)を読んで「俺もこういうのが描きたい!」と思って描いたラブコメ。僕の考える理想のラブコメの結末から作っていった作品だったのですが、オチから考えていたものだから、いざ「第1話を」となったときに「あ、まだ考えてなかった!」と(笑)。

★『ブラッドハーレーの馬車』は一部でエログロ漫画と呼ばれていますが、女性の裸は7ページくらいしかないんですよ? それでエログロと言われるとちょっと凹みますよね。さらに、エログロに反応して購入してくれた方が「肩すかしでした……」なんて言われてもね!

★『シスタージェネレーター 沙村広明短編集』はアメリカでも発売された本ですが、アメリカ版は(短編の1作品)「エメラルド」をトップにもってきているんですよ。ですがアメリカの人にはこの「エメラルド」くらいしか理解できないんじゃないかと。日本の時事ネタを盛り込んだ「制服は脱げない」などを読んでも意味がわかりませんよね?

★『ハルシオン・ランチ』。これ、実は描く予定が無かった漫画なんですよ! 第1巻の巻末に書いてあるネタっぽい誕生秘話ですが、これはまったくの事実です(笑)。

★現在「月刊少年シリウス」の別冊「ネメシス」で連載しております『べアゲルター』。これは僕が描いていた“チャイナガール”の絵を見つけた編集さんが「じゃあ、これで漫画を作りましょう」ということで誕生しました。「1話に1回、暴力かエロを入れて!」と言われているので、これからもそうなる……はず。

など、様々な裏話が続出! とにかく、そのエピソードのすべてが面白く、かつ沙村さんらしい!! これだけでもお腹いっぱいのところだが、続けざまに行われた質問コーナーでは鉛筆画が減った理由などファンなら「なぜ?」と思う謎も解明! まさにファンにとっては夢のようなひとときであった。

そんな沙村さんのファンたちは『無限の住人』の次の作品を待ち望んでいるはず! しかし大丈夫! そこは安心して欲しい。現在執筆中の『べアゲルター』に加え、今後はエロディクス・エフで新連載『佇めるスネグラチカ(仮)』が、そして2013年年末から2014年早々には再びアフタヌーンにて連載が開始(予定)という情報が入ってきた。

担当編集さんも「編集部に“沙村先生の次回作を早く読みたい!”とお手紙をいただければ、すぐさま先生に転送しますので!」と外堀から埋めていく作戦をとってくれるようなので、どしどしファンレターを送ってしまおうではないか! 

私も微力ながら、このブログにてファンレターに代えさせていただく。
「沙村先生! どうぞ、今年中に次回作をよろしくお願いいたしますっ!」


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