声旬!の“神出鬼没”更新コンテンツ、「なうのルーツ」。昨日に続いて2日連続での更新ですが、今夜も前回に続いて今をときめく秋元先生作詞のアニソンをご紹介したいと思います。間をあけると前回のことを忘れられてしまいそうですし、まあ、僕的には秋元先生といえば“おニャン子クラブ”でも“48系”でもなく、この歌なんですよ。そう「メロスのように -LONELY WAY-」。『蒼き流星SPTレイズナー』のOPテーマです。
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画像はDVDプロモーションサイトより


『蒼き流星SPTレイズナー』は1985年秋からスタートし、翌86年まで38話が放送されたロボットアニメ。監督は『ダグラム』『ボトムズ』『ガリアン』を手がけた高橋良輔氏。当時、富野由悠季監督と並ぶリアルロボットアニメの“両雄”として活躍していた氏の1つの集大成的な作品と言っても過言ではありません。

『ダグラム』『ボトムズ』は、リアルロボットアニメでありながらあくまでアニメ的なウソの部分を捨てなかった『ガンダム』に対して、(ほぼ)実弾しか飛び交わない戦場に代表されるようなディテールへのこだわりなど、リアルさをより追求していた点において、当時の風潮にマッチし、非常に高い評価を持ってうけいれられました。もちろんそれは“子供”の視聴者を置き去りにするという問題もはらんでいましたが。

そんななかで放送開始された同作は、米ソ冷戦が続く90年代末期というリアルな世界観(当時、現実にはこれが最もリアルじゃなくなったけど)、人工知能がサポートする操縦システム。バックパックの換装による多目的運用(これはプラモで遊ぶ少年の心に刺さった)など、設定、ディテール面でリアルロボットアニメとして1つの到達点を迎えたかのような緻密さが、当時の“ヲタ”の心をつかんだのです。

だがそれ以上にこの作品、ドラマの作りこみがていねいなのが見どころ。主人公、アルバトロ・ナル・エイジ・アスカは、人類とグラドス星人の混血児。グラドスの地球侵攻を人類に伝えるべく、最新式SPT「レイズナー」を奪って火星にやってくるが、敵とみなされ信頼されず、さらに人類は米ソに分かれ対立している。そんななかで火星にやってきていた少年少女たちとともに逃避行を続けながら、人類とグラドスの共存の道を探るという話です。

混血であるエイジにとって、人類、グラドス、どちらも同胞。だから彼は「殺せない」。そんな苦悩を抱えた逃避行のなかで、自らの姉の恋人と戦わなければいけなくなり、さらにレイズナーに隠された秘密が明かされて…という物語が展開するのですが、詳しく書くとそれだけで大長編になるので、詳しくは本編を見てください。ちなみに視聴率不振とプラモ売り上げ不振による同作は3クールで打ち切りになります。最終回の唐突な“打ち切り感”はアニメ史上に残ると思います。その無念をはらすかのごとくOVAが制作され、ここで完結を迎えます。未見の方はOVAを見ていただくのが早いと思います。2クールまでと3クールの違いもぶっ飛ぶことでしょう。主人公エイジのごとく、作品自体も当時のカオスなアニメシーンに翻弄されたのです。

で、この作品のOPテーマを作詞しているのが、あの秋元康先生です。「メロスのように -LONELY WAY-」では、おニャン子クラブ隆盛前夜の、まだ新進気鋭だった秋元氏の才能が爆発。運命に翻弄されながら自らの信念を貫かんとするエイジの物語を“メロス”にたとえたセンスには震えます。当時としては珍しかったOPに毎話の名セリフを挿入する演出も、歌をより引き立てていました。

この楽曲、その後いろんな声優さんやアニソンシンガーがカバーしているので、そちらで知っている方も多いはず。このテキストをごらんになった方はぜひ、これを機会に本編を見ていただき、オリジナルも聴いてもらいたい、そう思う僕なのであります。

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