原由実さん1


まとめると……
●原由実が5枚目のシングル「Crossover」を2014年10月29日(水)にリリース
●表題曲は初のノンタイアップ曲
●ノンタイアップだけに原由実自身の世界観を深く反映させた曲になったという…

原由実さんⅡ


 原さんは今回のシングル発売について「『この大空に、翼をひろげて CRUISE SIGN』のエンディング曲を歌うことになったと聞いたんです。だからそれが表題曲になると思っていました」と話す。しかしなんと表題曲は初のノンタイアップ。

「ドキドキしました。作品に曲調を合わせていくタイアップ曲に対して、ノンタイアップだと自由に曲作りができます。でもタイアップがあると作品好きな人が買ってくださいますが、ノンタイアップはいかに印象的な曲を作るかが大事ですから」

 そう語る原さん。今回のシングルでは制作面にも深くかかわりこだわった曲作りをしたという。「今までシングルの表題曲については、できあがったものを歌うことに集中してきました。今回は楽曲を選ぶにあたっても、40曲以上集めた中から私が最終候補までしぼって最終的にプロデューサーの濱田さんに選曲していただきました。アレンジについても仕上がっていく過程で聴かせていただいて、私も意見を出しました。ここまで深く制作に関わったのは初めてで、思い入れがありますし、歌も含め全部にこだわりましたね」

 アーティストとしてより曲作りに密着しただけに、レコーディングに臨む意識にも変化があった。「今回は作曲のジョニー(Johnny.k)さんも現場に来てくださいましたので、曲の魅力を最大限に出せるように歌いたいとすごく思ったんです。曲がかっこよくて勢いがある分、最初に歌ったときにはまだ“自分の歌が曲に負けてる”感覚がありました。だから演奏に負けない歌になるまで歌わせていただきました」

 そんな原さんが表題曲「Crossover」で気に入ってる部分はサビだという。「歌詞もコンペで私が選ばせていただきました。最後の5つぐらいまでの候補を選んだのですが、“音になじみのいいもの”ということで選ばせていただきました。それが以前歌わせていただいた“風のオーケストラ”の“ワラビサコ”さんの歌詞です。今回“Crossover”というタイトルが先にあってそれをもとにみなさんに書いていただいたので、どう“Crossover”というワードが歌詞に入ってくるんだろうって思っていました。そうしたら、サビの一番印象的な部分で使われているので、そこが特にお気に入りです」

原由実さん

 そして今回カップリングに先述の通り、『この大空に、翼をひろげて CRUISE SIGN』のエンディング曲となる「Dear Blue Sky」が収録される。

「ゲームメーカーのツーファイブさんが制作ということで、ディレクションの方もスタッフの方も初めてお世話になる方でした。最初“歌のおねえさんがさわやかに歌う感じ”を想像していたんですが、先方のイメージは“ウィスパーボイス”で歌ってほしいというものだったんです。以前歌った「Snow Drops」のように、ささやくように息成分多めで歌ってくださいというもので、私がイメージしていたものと180度違った雰囲気で最初は大変でした。でも仕上がってみたらいい感じになったと思います」

 もう1曲のカップリング曲「虹色」はメッセージソングだという。「“応援ソングにしたい”と話し合ってテーマを決めました。“誰しも別れがあるけどそれでも大丈夫”というメッセージ性のある曲です。いままでは自分から歌い方を提案することはなく、ディレクションに対して自分が納得いくまで歌わせていただく感じだったんですけど、今回はちょっとかわいらしさを意識したいと提案させていただきました。Aメロがウィスパーで、Bメロはいつもの自分とウィスパーが半々、サビでいつもの自分……と、場所によって歌い方を変えたのが聴きどころですね」

 特に「1番のAメロの“息をひそめてた”という部分は、本当に息を潜める感じにして、何度も録り直しました」とのこと。購入したら必聴だ。

 そして今回、ジャケット画像、アーティスト写真も今までとは雰囲気を変えてきたのもポイント。自分でもそこで新発見があったという。

「私服っぽくしたいという話をさせていただいたんです。当日衣装を着させていただいた際、“緑色の服が似合いますね”って何人かの方に言っていただいて、“あっ、緑似合うんだ”と新発見でした。翌週には早速、緑の洋服買いに行きました(笑)」

 CDに同梱されるDVDには「Crossover」のMVが収録。なんと渋谷のスクランブル交差点で撮影したカットも含まれている。

「撮影の会議にも同席させていただいて、そこで渋谷のスクランブル交差点で撮影するという話になって、“えっ、渋谷よく行くし恥ずかしい!”って別の場所を提案したんですよ。東京駅とか練馬とか。東京駅ならみんな急いでいて誰も気にしないだろうし、練馬は行ったことないんですが人が少ないかなと思って(笑)」

 監督の曲名とスクランブル交差点をシンクロさせたいという思いから、結局ロケが渋谷で行わる。
「ロケでは、イヤーモニターつけてiPhoneから曲を流して歌いました。交差点が青になった瞬間に中心まで行って、1人で口をパクパクするんです。今回倍速で撮影して元の尺に戻すって撮り方をしたんですが、覚えている歌詞でも倍速だとすぐに頭に浮かんでこなくて、でも何度もNG出せない状況だったので大変でした。倍速と通常両方で撮影しないといけなかったので、交差点での撮影は10回はチャレンジしましたね。そのあとお台場で撮影したんですが、こっちのほうが観光客の方が多くて渋谷よりたくさん視線を感じました(笑)。でも、お台場で撮った夕暮れの映像などがあることでMVの世界が広がったと思います」

 そんな緊張しまくりの撮影をこなしたMVだが、できあがりには満足しているようだ。「今までの10倍は撮影したんじゃないかというぐらいの撮影量だったので、自分のPVのなかで一番のお気に入りになりました」

 スクランブル交差点を経験してロケ耐性(?)が強化されたであろう原さん。次回、ロケで挑戦してみたい場所などがあるか聞いてみると「自分の思い出の場所もたくさんあったりするので、いつか地元の大阪で撮影できたら嬉しいですね」と答えてくれた。

 ちなみにDVDにはメイキングの様子も収録。ファンにはおなじみ「由実☆シュラン」も見られる。「昼にラーメンを食べてたんですが、食べ終えてから“あっ、撮ってない”って気づいて……映像は“銀だこ”だけになっちゃいました。でも実は昼からたこ焼き食べたいって思ってたんです…(笑)」

 話題を変えて、CDリリースといえば「発売記念イベント」だが、原さんの発売記念イベントといえば“面白いプレゼント”がおなじみ。今回もあるのだろうか?

「いつもお渡し会、握手会のときは、私の手作りのプレゼントを参加者の方にお渡ししてるんです。名札と呼ばれる私が切っただけの布とか、線香花火といって私がティッシュをくるくるしたものとか、前回は“Rose on the breast”のローズにかけて、原の印鑑に濁点をつけたバラの紙切れを渡したんです(笑)。今回もなにかお渡しできればと!」

 そしてファンとしては11月15日(土)に行われる「LIVE 5pb.」も気になるところ。

「毎回たくさんのアーティストさんが出演されるので自分自身も勉強になります。自分を知らない他のアーティストさんのファンの方もいらっしゃると思うんです。そういったなかで自分に興味を持っていただけるように頑張って歌いたいと思います」

 アルバムリリースを経て、今回5枚目のシングルということでよりアーティストとしてのアイディンティティを確立させた感のある原さん。自らが深くかかわった楽曲だけにたくさんの想いを語ってくれたのが印象的だった。その成長を「LIVE 5pb.」や、今後行われるライブ等でのパフォーマンスで実感できることを楽しみに待ちたい。

原由実さん6


原由実 5thシングル「 Crossover 」【DVD付盤】
原由実
メディアファクトリー
2014-10-29


原由実 5thシングル「 Crossover 」【通常盤】
原由実
メディアファクトリー
2014-10-29