shirobako0920_yoru_016


まとめると…
●9月20日(日)に行われたTVアニメ『SHIROBAKO』のスペシャルイベントのレポート
●キャスト陣が作品、キャラクターへの思い入れをたっぷり語ってくれた
●スタッフトークでは本気で勉強になるお話も!?

 9月20日(日)、神奈川芸術劇場にて「『SHIROBAKO』スペシャルイベント~どんどんドーナツ、ドーンといこう!~」が開催された。今年3月にTVアニメの放送が終了して以来、待望のイベントとあって、グッズ販売所も大賑わい。ロビーに設置されたメインキャラクター5人の等身大パネルの前には写真を撮るお客さんの列ができていたほどだ。昼・夜の2回公演のうち、この記事では夜の部の模様をお届けする。

 イベントはまず、1クール目のOP曲「COLORFUL BOX」のBGMに乗せて、木村珠莉さん(宮森あおい役)、佳村はるかさん(安原絵麻役)、千菅春香さん(坂木しずか役)、髙野麻美さん(藤堂美沙役)、大和田仁美さん(今井みどり役)がステージへ。最初に登場した木村さんが、あおいの声で「私、昼の公演で泣いてしまいまして、夜も泣いたらどうしようと不安なんです」と言い、ロロ(クマのぬいぐるみ)の声で「甘ったれんなー。イベントは楽しんだらそれで大丈夫なんだよ」と、アニメでもおなじみの一人演技を見せ、会場を沸かせた。そして、この日来場者にも配られていたドーナツの形をしたうちわを会場全体で一斉に「どんどんドーナツ、ドーンといこう!」と振りかざし、勢いよくスタートを切る。

shirobako0920_yoru_001 shirobako0920_yoru_008 shirobako0920_yoru_004
▲左から木村珠莉さん、佳村はるかさん、千菅春香さん

shirobako0920_yoru_003 shirobako0920_yoru_002
▲左から髙野麻美さん、大和田仁美さん

 最初のコーナーはTVアニメの振り返りトーク。5人が事前に「思い入れのあるシーン」をアンケートで答えており、それをもとに語り合う形で進行された。

 まず髙野さんが、17話の「5人で集まって、『無駄なことはない』と話している美沙」をピックアップ。前に勤めていた会社では不満に思っていたタイヤのCGを作る作業で褒められたことにより、“無駄な仕事はないんだ”と気づいた美沙に髙野さんも感動。声優にも当てはまる場面だと話し、ほかのキャスト陣も共感する。

 千菅さんは8話から、「原画の仕事の壁に悩まされている絵麻のことを瀬川さん(在宅アニメーター)が『でもいまはまだわからない。わからないから(思うように原画の仕事が)できない』と話すシーン」を挙げる。『SHIROBAKO』の世界の大人の方々はいろいろなことを教えてくれる、と感慨深げに語ってくれた。

 大和田さんは22話、みどりと絵麻の会話シーンを取り上げた。みどり(脚本家志望)の「怖いのは脚本家になれないことです」という言葉に、ほかのことは怖くないからいつも積極的だったんだ、かっこいいなと感じたとのこと。このセリフはほかのキャスト陣も印象に残っているようで、ステージ上から称賛の声が上がる。

 木村さんは最終回の24話から、『第三飛行少女隊』最終話の納品を終えて新幹線で自問自答したシーンを挙げる。若干泣きそうになりつつも「あおい自身に夢がなかったけど様々な経験や出会いを経てやっと答えが出せたシーンなので……」と気持ちを込めて説明してくれた。

 最後に佳村さんは、1つに絞り切れなかったようで、「1位=23話の木下監督……全部ですが特に野亀監督との会話シーン、2位=9話の木下監督と舞茸さんの会話のキャッチボールで最終回の展開決まるシーン、3位=5話で木下監督が牢屋に入れられているシーン」……と、まさかのランキング形式で猛烈な木下監督プッシュを見せてくれた。本人も、こんな真面目な流れで来るとは思っていなかった模様。

 ほかに、22話で原画担当の久乃木が作画の打ち合わせで「これは……下着! ですか?」とオーバーアクションで聞いているシーンが挙がり、キャラクターの話題で「太郎は登場人物で唯一成長していない。『高梨太郎という生き方』という本も出せそう」という話も飛び出すなど、キャスト陣が1シーン1シーン、キャラクターひとりひとりに思い入れがあることが伺えた。

 続いてはスペシャル朗読企画。「月刊コミック電撃大王」で連載している『SHIROBAKO〜上山高校アニメーション同好会〜』からシーンを抜粋し、セリフがステージで読み上げられた。きっちりとした朗読に感動していると、続いては「攻めたバージョン」と言って、なんと博多弁でセリフをしゃべるという企画に挑戦。全員が博多弁で口論するシーンは、もう何が何だかわからなくなるカオス状態で、大きな笑いも起きていた。

shirobako0920_yoru_017

shirobako0920_yoru_006 shirobako0920_yoru_007

 続いて「SHIROBAKOスタッフトーク」と題し、永谷敬之さん(インフィニット)、堀川憲司さん(P.A.WORKS)、川瀬浩平さん(ワーナーエンターテイメント ジャパン)という3人のプロデューサーによるトークコーナーを実施。事前に公式サイトで募集されていたメールをもとに展開され、かなり踏み込んだ質問や回答が続出。

shirobako0920_yoru_020
▲左から川瀬浩平さん、堀川憲司さん、永谷敬之さん

 中でも、個人的に特に印象的だったコチラのQ&Aを紹介したい。将来、プロデューサーを目指しているという大学生からの、

「将来、自分で企画を立ち上げドラマやプロデュースをしたいと思っています。プロデューサーになるうえで現在やっておくべきこと、やっておくといいことはなんですか?」

 という質問。

 これに永谷さんが「まずはコミュニケーション能力を高めること」と回答。初対面の人に会い続けるという職業柄、人見知りすると損をする、うっとうしいと思われるぐらい積極的でないといけない、と話してくれた。永谷さんはこの日も巧みな司会進行で会場を盛り上げたので非常に説得力があった。

 堀川さんは、アニメは一人では形にならないからと、「進行であろうがプロデューサーであろうが“これは面白いんだ”ということにいかに多くの人を巻き込んでいけるか」が大事と語り、周りにアピールし続けることの大切さを教えてくれた。川瀬さんはアニメ以外の映像のものを観たり本を読むことが肝心と説明。他分野のものを観る・読むことによってそれをどうアニメに変換できるかという引き出しが増える……と。このくだり、アニメプロデューサー以外にも通じるものをひしひしと感じ、この日1番というぐらい前のめりになって聴いてしまった。

 そして最後はライブパート。ドーナツ模様が施されたドレス風の衣装で木村さん、佳村さん、千菅さんが登場。第1クールのエンディング曲「Animetic LoveLetter」を披露すると、続いて同じく特製の衣装を着た髙野さん、大和田さんも登場し、“どーなつ◎くいんてっと”の5人で第2クールのエンディング曲「プラチナジェット」を歌ってくれた。続いて石田燿子さん、奥井雅美さんがそれぞれオープニング曲「COLORFUL BOX」、「宝箱-TREASURE BOX-」を披露。客席内でペンライトはもちろん、ドーナツうちわが舞う光景に、これは『SHIROBAKO』ならではだと思い、胸が熱くなる。

shirobako0920_yoru_019

shirobako0920_yoru_009 shirobako0920_yoru_011 shirobako0920_yoru_010

shirobako0920_yoru_015 shirobako0920_yoru_012

shirobako0920_yoru_018

shirobako0920_yoru_013 
▲石田燿子さん

shirobako0920_yoru_014
▲奥井雅美さん

 最後に出演者から挨拶。ひとりひとりが今日の感想や『SHIROBAKO』への思いを語り、佳村さんが感極まりながら「また『安原絵麻役の佳村はるかです』と言えてうれしい」「また言えるよう、これからも『SHIROBAKO』を愛してください」と笑顔で話し、大きな拍手を受ける場面も。最後に木村さんが「こんなにかわいい服を着て、素敵な皆さんと同じステージに立てる日が来るなんて思いもしませんでした。これも『SHIROBAKO』という作品と、それを愛してくれた皆さんとおかげです」と、感謝の言葉を述べる。

 最後に、また『SHIROBAKO』のイベントに集おうという意味を込め、会場全体で「どんどんドーナツ、ドーンといこう!」と、一斉にドーナツ(うちわ)を振りかざして終演。出演者もステージを降り、幕が閉まる……と思いきや、スクリーンにタイトルロゴが浮かぶ。すると、この日の会場準備やリハーサルの写真などとともに、スタッフロールが映し出された。出演者はもちろん、機材スタッフや運営スタッフなど、関係者の名前が次々と流れる。すべてが終わったあと、会場からは大きな、そしていつまでも続きそうな長い拍手が鳴り響いた。

 出演者たちから作品への強い思い入れを感じ、『SHIROBAKO』がどれだけ愛情を持って作られ、関係者とファンに愛されているのかを実感させられたイベントだった。10月25日(日)には千葉・イオンモール幕張新都心にて「SHIROBAKO秋祭り」の開催も予定されているので、今後の動きにも目が離せない。


TVアニメ『SHIROBAKO』公式サイト
http://shirobako-anime.com/


SHIROBAKO 第1巻 (初回生産限定版) [Blu-ray]
木村珠莉
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2014-12-24


SHIROBAKO ~上山高校アニメーション同好会~ (1) (電撃コミックスNEXT)
ミズタマ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2015-01-24