Lady Go!! 卒業イベント ~1841日の奇跡~
左から上坂すみれさん、小松未可子さん、大久保瑠美さん、高森奈津美さん、三上枝織さん


まとめると…
●文化放送「超!A&G+」で放送されていたWEBラジオ『A&G NEXT GENERATION Lady Go!!』の卒業イベントが10月18日(日)に行われた
●出演者はパーソナリティの上坂すみれさん、小松未可子さん、大久保瑠美さん、高森奈津美さん、三上枝織さん
●5人が番組を振り返り、主題歌を披露し、最後を締めくくったのは……

 会場に入るなり、瞬く間に度肝を2回抜かれた。まずはロビー中に広がる、見渡す限りのフラワースタンドの数に。続いてはその熱量に。関係者や企業はもちろん、リスナー(視聴者)からも多数届いており、それぞれにメッセージやパーソナリティのイラストなどが添えられ、カラフルに風船で彩られたもの、番組に登場したキャラクターを花でかたどったものなど、そのクオリティと愛情の深さが圧巻だった。

愛と動物がいっぱい! 

奥は何事か

もう人じゃん

 そんな熱い支持を受けていたのが、2010年10月4日から2015年10月2日までの5年間、月曜から金曜まで文化放送「超!A&G+」で放送されていた動画付WEBラジオ『A&G NEXT GENERATION Lady Go!!』。次世代の声優界を引っ張っていく“レディ”5人がリスナーとともに成長していこうというコンセプトのもと放送された“真っ白”な番組で、毎週月曜から金曜まで各曜日のパーソナリティを上坂すみれさん、小松未可子さん、大久保瑠美さん、高森奈津美さん、三上枝織さんが担当していた。その5人が出演する「Lady Go!! 卒業イベント ~1841日の奇跡~」が10月18日(日)、千葉・舞浜アンフィシアターにて行なわれた。

 開演時間となり場内が暗転すると、スクリーンにそれぞれの初回放送や最終回の映像が流れ始める。その懐かしさ、初々しい姿に歓声も上がる中、主役である5人が登場。最初のコーナーは、スクリーンに映し出された年表をもとにした5年間の振り返りトーク。年表には日付とともにこれまで実施した企画や登場したゲスト、イベントといった全体の動きから、「2011年4月14日、高森、スカートを穿いてくる」(当時はショートカットでボーイッシュなイメージだったため、事件クラスの出来事だった模様)、「2011年7月26日・小松、確認できる限り最後のノースリーブで登場」など、初期からのリスナーのツボを刺激するネタも。上坂さんは『Lady Go!!』の開始から1年間はまだパーソナリティではなかったため、その期間の年表には「上坂さん、ゴルバチョフとゴディバチョコって似てますよね?」といった小ネタも挟まれていた。なお、似ているかどうかに対する返答はなかったため、ゴルバチョフ・ゴディバチョコ間の親和性については永遠の謎となる。

細部までこだわりが見られた年表

 その後、各曜日に登場したコーナーキャラクター(パーソナリティが扮するオリジナルキャラ)が特別にステージへ現れることに。登壇者とキャラクターが入れ替わって現れるという段取りのもと、高森さんが幼稚園児ふうの帽子をかぶった「なちゅみ」、大久保さんがサングラスとウサミミのヘアバンドを装着した「伊達ルミ男(お)」になって登場する中、上坂さんは厚紙で作られたピンクのマトリョーシカふうの衣装をまとい、どんな質問にも答えてくれる「質問シロイドSumire」として登場。前後の厚紙が長すぎるという構造上の欠陥により、イスに座れなくなるというハプニングにも見舞われる。三上さんがエプロンを着けて「ハニーしおり」、小松さんがメガネをかけて「マザーミカコ」となり、5人が仮装したまま思い出トークや朗読劇を行うというファンタジックなステージが展開。

 そのあとはアンフィシアターの特徴である円形の可動ステージを使い、5人でコタツを囲みテーマに沿って語り合う「女子会」がスタート。ゆっくり回るステージでミカンを食べながら会話する様子を観客が見守るという、会場史上屈指であろうまったりとしたステージパフォーマンスが実現。さらに卒業記念のケーキが登場し、5人で入刀。客席をバックにした写真撮影もにぎやかに行われる。

記念撮影

 15分間の休憩を挟み、5人のユニット「.lady.(ドットレディ)」のライブコーナーへ。次世代を担う女性声優5人による真っ白な番組というコンセプトに沿ってか、真っ白い衣装を着た5人が登場。まずは2014年春からの番組OPテーマにしてデビュー曲である「Open Tuning」。イベントで披露されるのが昨年7月の番組イベント以来にもかかわらず、客席も完璧な合いの手を打ち、続く2015年春からのOPテーマ「Progression」でさらに熱気は増す。一転してEDテーマだった「星を捜して」、「A Little Magic」とバラード曲が続く。.lady.は持ち歌が5曲なので、曲調も相まって、客席中が残された時間を大切にするように聴き入っていた。

 最後の曲は「君と僕との1ページ」。10月に発売された卒業アルバムのために書き下ろされ、歌詞、メロディともに番組の歴史と5人の卒業を連想させ、リスナーの胸に迫る内容となっている。終了までの1年半ほどだが筆者も番組を聴いていたため、心を揺さぶられながらステージを観ていると……、上坂さんが泣いた。放送の最終回でも涙は見せず、楽しく番組をやりきった上坂さんが。実際の理由はわからないが、ほかの4人から1年遅れて加入した本人にとって、『Lady Go!!』の中に溶け込むまでと溶け込んでからの時間で得たものは自分が想像する以上に大きかったのかもしれない。そして駆け寄る小松さん、大久保さん、高森さん、三上さん。記者としては冷静に観なければいけなかったのかもしれないが、もらい泣きするなというほうが無理、と思うほど感動的な場面だった。

 次のパートまでの間、スクリーンに過去の番組イベントの様子がダイジェストで映り、5人がゴスロリ服で登場した姿や浴衣で勢ぞろいしたシーンなどが流される。そしてステージにはライブに引き続き白い衣装を着た5人と、番組開始時からプロデューサーを務めてきた高橋和也さんが燕尾服を着て登場。卒業証書授与として、一人一人にメッセージ入りの賞状が手渡される。それぞれが演台の高橋さんに、そして観客席に向けて深々と、まっすぐな礼をする姿がとても美しく、『Lady Go!!』という番組がこれまで積み重ねてきたものを垣間見た気がする。

 そして5人がひとりずつ、他のメンバーと観客席へ向けた「答辞」を述べる。自ら書いた手紙をもとに、番組が始まったころの心境や、スタッフ、リスナーへの感謝の言葉など、素直な気持ちを伝えてくれた。ライブコーナーでは感極まって涙を見せた上坂さんが今度は晴れやかな笑顔で答辞を締めくくったのも印象的だった。

 いよいよ終演か、そんな雰囲気の中、スクリーンに「お客さんから5人にプレゼントがあります。リスナーの皆さんからも言葉の花束をいただきました」という文字が表示されると、ステージに横長の巨大なパネルが登場。その一面が来場者によるメッセージの書かれた、絵馬ほどのサイズの紙で埋め尽くされていた。どうやら入場時に1枚ずつ配られ、本番中にスタッフが完成させたらしい。5人はそれを感慨深そうに眺め、リスナーからの労いの言葉、イラスト、「また踏んでくれ!」という、おそらく一度も踏まれたことのない人からのメッセージを感慨深そうに眺めていた。

 「君と僕との1ページ」のイントロが流れ出し、お別れの挨拶へ。「それではそろそろお時間です。ここまでのお相手は……」と一人一人が名前を言い、5人の「Lady……」に続いて、会場全体で「Go!!」。ステージと客席との間で「ありがとう!」「ありがとう!」と言葉を交わしながら、5人はステージを後にする。

 以上をもって大団円……ではなかった。「君と僕との1ページ」が流れる中、5人に送られていた拍手はやがて手拍子に。メロディが鳴り終わると大きな歓声が起き、再び場内が拍手に包まれる……と思っていると、その拍手が自然とタタタン・タタタン・タタタンタン、という三本締めへと変わったのである。誰かが呼びかけたわけでも、打ち合わせがあったわけでもないだろう。タイトルに「1841日の奇跡」とついたイベントとはいえ最後にこんな奇跡が待っているなんて夢にも思わず、その場でしばらく打ち震えた。

 文筆を仕事とする者として、「5人の築いた時代が節目を迎えた」「次のページがめくられた」のような、それらしい言い回しで締めるのが適当なのかもしれない。ただ、“真っ白”な5人と関係者、そしてリスナーとの絆を肌で感じた身として、飾らない感想を最後に記したい。最高の時間を味わわせてくれて、本当にありがとうございました。

お疲れ様でした

【セットリスト】
SE .lady. Overture
01 Open Tuning
02 Progression
03 星を捜して
04 A Little Magic
05 君と僕との1ページ

.lady.公式サイト
http://columbia.jp/dotlady/


Lady Go!!卒業アルバム
.lady.
日本コロムビア
2015-10-14