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まとめると〜
● 囁揺的音楽集団AsMRの初ワンマン公演が開催された
● 新体制となって初のライブでもある公演をレポート
● この物語、目が離せない!

ついに「覚醒の扉」(GATE)の開くときが来た。囁揺的音楽集団AsMRとして初のワンマン公演であり、新体制となって初のライブ「ONEMANGATE覚醒の扉」が、1月8日に渋谷SPACE ODDで行われた。

「やっと、目を覚ましましたね。ずっと、貴方をお待ちしておりました」の声…。

舞台の上に姿を現したのが、Ayaka。「ここは、深い、深い、夢の中~扉が一つ」、語り部となったAyakaが語りだしたのは、この日のストーリーの軸になる思い。これから始まる物語を繙くストーリーの一片一片を、Ayakaはランタンの光を頼りに、闇の中、囁くようにゆっくりと語っていた。
「最後のピースはあなた自身、さぁ、目を閉じて~目をゆっくり明けて、その扉を開いて」

その語りへ導かれるように、Milliが舞台へ姿を現した。荘厳麗美な同期音を背負い、彼女はピアノを前に『踊る指先(Risoluto)』を演奏。自身の揺れ動く気持ちへ寄り添うように、ときにおおらかに、ときに繊細な音を、鍵盤の上で指を踊らせながらMilliは奏でていた。情熱、美しさ、物悲しさ、いろんな感情が1曲の中で、次々と表情を変えるようにあふれだす。それは、Milli自身の心の素顔。彼女の中に棲む音楽の女神は、こんなにも激情した姿なのか…。圧倒的な存在感を放つ演奏に、気持ちが強く惹かれていた。

舞台のバトンを受け取ったのが、ギターのGINA。『剥き出しの魂(Nigella)』という題名に相応しい、轟音を唸らせたギターの演奏がフロア中に鳴り響く。音を歪ませた旋律の数々が、胸を痛く掻きむしる。GINAも、激情した感情を、荒ぶる音に変えてぶつけていた。彼女が心を剥きだしたとき,そこには魂を熱く騒がせるノイズのような音が現れていた。

舞台の最後に登場したのが、ヴァイオリニストのemyu:。彼女は、『旋律の妖(Ark of Chaos)』を演奏。荘厳かつ悲壮な色を持つクラシカルな音でパガニーニのカプリースNo.5を弾き出し、そこから即興で楽曲を転換していきカデンツァとして弾き上げた。操るのはエレキヴァイオリンではなく彼女のメイン楽器であるクラシックヴァイオリン。物悲しさの中から見える情熱。彼女もまた、熱い魂を宿した存在だ。やがて背景の音楽が不穏な空気を膨らませるのに合わせ、emyu:は囁揺的音楽集団AsMRの『Ark of Chaos』を物悲しい音色を持って響かせた。ときに混沌へと導く不穏で重厚な音色を奏でながらも、高尚な曲として『Ark of Chaos』を昇華していった。なんて、高貴で貴賓にあふれた。でも、痛い刺を抱いた音色も響かせられる表現者なのだろう。

emyu:の音色へ導かれるように、メンバーたちがふたたび舞台へ。さぁ、ここからは囁揺的音楽集団AsMRとしてのGATE(ライブ)の幕開けだ。

鐘の音に乗せ、Ayakaがゆったりと語りだす。その声と演奏が導いたのは,現代から遠く離れた、異なる時間軸が流れる異境の空間。『異端者の祭典』を通し囁揺的音楽集団AsMRは、時空を超えた先に広がる異形たちの棲む世界への扉を開け、観客たちをそこへ誘いだす。目の前には、巨大な祭壇の前にひれ伏し、流れる不穏な音へ導かれるまま業火の中で踊り狂う、魔物たちの宴の場が広がっていた。

ライブは、一つ一つの扉を開けるごと、さまざまな世界へ観客たちを誘いだす。Ayakaの語る言葉が、次の物語を告げる扉を開く鍵となり、開いた一つ一つの扉の中へ観客たちを招き入れる。

そこに広がっていたのは、白銀の世界。囁揺的音楽集団AsMRは『Snow drop』を通し、嘆く雪の音を降らせてゆく。そこには、美しくも幽玄な音世界が広がっていた。ギターとエレキヴァイオリンの演奏が、様々な不協な音を奏で、哀切な世界を、次第にカオスな色へと染めあげる。背景で鳴り響くドラムの音は、まるで雷鳴のよう。壮麗でたおやかな世界が、いつしか荒れ狂う白い世界へと染まっていた。

emyu:のヴァイオリンの旋律へ導かれるように、演奏は荘厳かつ雄々しい音を鳴り響かせる。『艶麗戦歌』を通し囁揺的音楽集団AsMRは、心を野生に変え、剥きだした感情を突きつけるように雄々しく歌い奏でていた。大きくうなり続ける演奏。美しさと濁った音が交錯し、次々と転調しながら、カオスな魂を大きく膨らませてゆく。演奏が進むごとに激情してゆくメンバーたち。そして…。

物悲しいピアノの音色の上で、Ayakaが語りだす。やがて演奏は、『Ark of Chaos』へ。地獄の底から鳴り響く戦慄する旋律。その上で、血塗られた歌姫となったMilliが、狂信のオペラを歌いだす。熱を抱いた魂を天へと召すように歌うMilliの声へ寄り添うように、演奏も熱と重厚さを増してゆく。いつしか楽曲は、荘厳なる魔ロックなオペラソングへと進化。勇壮なドラムの音を行進するリズムに変え、メンバーらは、Milliの歌声へ従うように。いや、彼女の歌声をタクトに、熱情したその声へ寄り添うように、美しくもノイズな音色の数々を舞台の上から羽ばたかせていた。とても壮麗でカオスなロックオペラだ。

楽曲は、轟きを上げて一気に駆けだした。これまでのように次第に熱を膨らせるのではなく、メンバーらは最初から心のアクセルを踏み込み、沸き立つ感情をすべて『雷命INFESTER』に乗せ、思いきり炸裂させた。激情した魂を、彼女たちは剥きだした音を介して叩きつける。その音に刺激を受け、身体を大きく揺さぶり、音に身を捧げる人たちも。でも、大半の人たちは4人の存在感に圧倒され、彼女たちの姿に視線が惹きつけられていた。その様を知ってか知らずか、大地を揺らす勢いで囁揺的音楽集団AsMRは轟音を投げ続けていた。

Ayakaの「サ・ヨ・ナ・ラ~」の声を合図に流れだしたのが、荘厳シンフォニックでラウドな世界を描きだす『トレモロ』だ。ときに凪いだ心模様を見せれば、ときに激情した歌声や演奏を示すなど、雄大な楽曲の中へ、揺れ動く人の心を急変する天気のような様を通して投影していた。黒い轟音のうねりの中へ、このまま飲み込まれたい。そのままどっぷりと身を落としてしまいたい。

Ayakaの重厚なベースの音色に、狂気を抱いたemyu:のヴァイオリンの音色が絡み合う。そこへ他のメンバーたちも黒いカオスな音を重ねあわせ、激情した物語を描き出す。巧みに緩急もつけながら、『震撼SCREAMER』は熱をたっぷりと吸い込み、闇の中を意気揚々と駆けてゆく。雷鳴のようなドラムの音へ荒ぶる音を重ねあわせるAyakaとGINA。emyu:の美しくも狂気帯びた旋律が、Milliの歌声へさらに狂気を塗り重ねていた。

最後に囁揺的音楽集団AsMRは、『Saturated World』を通し、まるで巨大な銀河空間のような荘厳かつ麗美な世界を目の前に描きだしていた。Milliの歌が誘いの声となり、雄大な音の中へ観客たちをぐいぐい引き込んでいた。ここは、何処??すっかり我々は囁揺的音楽集団AsMRの振る音のタクトへ導かれ、この世界の創世から興亡までのいろんな歩みを、彼女たちの歌を案内人にしながら体現していた。そして、今宵のGATEは閉じていった。最後に、『艶麗戦歌』のMVを上映。また、次の扉への期待を優しく煽っていた。

アンコールでは普段、配信で行っているトーク番組「あずまーのス」を生公開。それまでの荘厳な世界観とは異なる、とても気さくでほのぼのとした…いや、うるさいほどにやかましい姿を披露。このギャップも囁揺的音楽集団AsMRの魅力。トークでは,なぜか「好きな食べ物」話から、すき焼きの話で盛り上がれば、Ayakaが話を軌道修正しようとするが…。

最後の最後に、囁揺的音楽集団AsMRは『AWAKE』を演奏。GINAとemyu:の奏でるASMRな音に乗せ、Ayakaがベースを弾きながら囁くように語りだす。不協な音がフロア中で混沌とした世界を描きだす。そこへ美しい音色を重ねるMilli。Ayakaの「AsMR」の囁き声を最後に、メンバーらはゆっくりとGATEを閉じ、次の物語へとバトンを渡していった。

12月19日に1st Album『MUSIC RECEPTOR』を発売。同日に、青山RiZMで2nd ONEMAN GATEの開催も決定!


囁揺的音楽集団AsMR ONEMAN GATE「覚醒の扉」
LIVE MEMBER
Bass & Whisper & Lylic Ayaka
Vocal & Piano & Lylic Milli
Guitar & Roaring sound GINA
Violin & Scratching noise emyu:
Support Drums HAZE


<セットリスト>
『語り部』Ayaka
『踊る指先(Risoluto)』Milli
『剥き出しの魂(Nigella)』GINA
『旋律の妖(Ark of Chaos)』emyu:
---------------------
『異端者の祭典』
『Snow drop』
『艶麗戦歌』
メンバー紹介
『Ark of Chaos』
『雷命INFESTER』
『トレモロ』
『震撼SCREAMER』
『Saturated World』
-ENCORE-
「あずまーのス」
『AWAKE』

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PHOTO:菊島明梨 TEXT:長澤智典


今後のライブ情報はコチラ

囁揺的音楽集団AsMR 公式サイト
囁揺的音楽集団AsMR Twitter

…次なる展開も楽しみ



トレモロ
MASHUP ENTERTAINMENT
2022-04-20



Ark of Chaos
Mashup Records
2022-10-29